アルツハイマー歯周病で悪化

歯周病がアルツハイマー病を悪化させることを、名古屋市立大の道川誠教授や国立長寿医療研究センターの松下健二部長らのグループがマウスの実験で明らかにした。

アルツハイマー病の患者に歯周病が多いことは知られていたが、医学的な研究はされていなかった。三十一日から東京都で開かれる日本歯周病学会で発表する。

 

グループは、アルツハイマー病の状態にした老齢マウスを二つのグループに分け、一方だけに歯周病菌を感染させ、脳で記憶をつかさどる「海馬」の状態や行動の違いを比較した。

四ヵ月後、歯周病のマウスの海馬はそれ以外のマウスの海馬と比べ、アルツハイマー病の原因となるタンパク質の量が1.5倍、分布する面積は2.5倍に増え、症状が悪化していた。

また、歯周病を発症していないマウスに「○」や「△」の記号を順番に見せると、新しい記号に次々近寄ったが、歯周病のマウスはほとんど反応せず、認知機能が低下していた。

 

アルツハイマー病は風邪や肺炎など体内に炎症が起きると症状が悪化することが分かっている。道川教授は「歯周病が引き起こす炎症が、アルツハイマー病を悪化させるタンパク質を増やしている可能性がある」と説明。

今後、歯周病がアルツハイマー病を発症させる詳しいメカニズムが分かれば、歯周病の治療がアルツハイマー病の予防や進行抑止につながる可能性がある。

 

       2013年5月30日掲載 中日新聞より引用 

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